2021年度第1回 先進コーティングアライアンス ADCAL勉強会
受付終了
ウイルスを短時間で不活性化できるコーティング技術
金属・ガラス・樹脂などの表面に抗ウイルス機能を有するセラミックコーティングを形成
先進コーティングに関し、最新注目されている話題について理解や議論を深めていただくために、第12回ADCAL勉強会を開催いたします。
今回は、厚生労働省・AMED令和2年度 「ウイルス等感染症対策技術開発事業」に採択され、(産総研)先進コーティング技術研究センターと就実大学で共同開発し、去る3月22日にプレス発表した「即時性および持続性が良好な抗ウイルスコーティングを作製する技術」とセラミックス協会誌4月号「特集:ウィズコロナ・ポストコロナ:セラミックスができること」に掲載された「抗ウイルス対策表面創成へのアプローチとセラミックスコーティング」に関する講演です。
物質表面に付着したウイルス活性は比較的長時間感染力を保つという報告があり、固体表面のウイルスの不活性化は、現在の新型コロナ禍において重要な課題です。このような背景から本技術は質感と強度に優れ、かつウイルス不活性化に優れた薬剤を徐放できるコーティング技術です。
開催要領は次のとおりです。
- 日時
- 令和3年5月10日(月) 13:30-15:00
- 場所
- オンライン開催(Teams)
- プログラム
- 13:30 ~ 13:35 開会
13:35 ~ 13:50 会長挨拶:明渡 純(産総研)「AMEDプロジェクトとプレス発表の経緯」
13:50 ~ 14:40 講 演:山田陽一先生(就実大学)「抗ウイルス、抗菌対策表面創成へのアプローチ」
14:40 ~ 14:55 フリーディスカッション
14:55 ~ 15:00 JFCA矢野専務理事挨拶
15:00 閉会
- 「抗ウイルス・抗菌対策表面創成へのアプローチ」 概要
- 新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)が社会的な問題となっている。感染症を予防するためには、その感染経路を遮断することが重要である。SARS-CoV-2の主な感染経路は飛沫感染と考えられているが、物質表面に付着したウイルスが手指などを介して他のヒトに感染を広げる接触感染を起こす可能性も指摘されている。接触感染の問題点は、物質表面に病原体が付着しているのか、以前にどのような人が触れたのかなどが不明確な点である。その対策として、現在は消毒剤を用いた清拭が行われているが、その手間や負担は大きい。そこで、抗ウイルス・抗菌作用を有する界面活性剤を含浸可能でかつ徐放するコーティングを作製すれば、幅広い感染症に対する予防効果が期待できる。
抗ウイルスコーティングとして、産総研の技術「エアロゾルデポジション(AD)法」によってアルミナ(Al2O3)ナノポーラス膜を作製し、これに消毒で広く用いられているクロルヘキシジン(CHX)を含浸させたコーティングを作成した。本コーティングはコロナウイルスと同じエンベロープ型ウイルスであるA型インフルエンザウイルスに対し、顕著な抗ウイルス効果を示した。今回開発した技術により、ステンレス、ガラス、樹脂など多様な素材の表面に常温で肌触りの良い抗ウイルスコーティングが作製可能となった。また、院内感染の原因として有名なブドウ球菌属への対策に有効な抗菌コーティングの開発も行っている。含侵する物質は抗菌効果だけでなく抗細菌付着効果を併せ持つため、近年問題となっているメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)などの薬剤耐性菌対策にも有効と考えている。ヒトの手が触れやすい「手すり」などへの応用が期待される。コーティングには徐放効果が期待されることから、頻繁に清拭を行うことが難しい場面での活用が特に期待される。
関連記事:産総研プレスリリース(発表・掲載日:2021/03/22) - https://www.aist.go.jp/aist_j/press_release/pr2021/pr20210322/pr20210322.html
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